「今日はご飯を食べたくない。」
子ども食堂でボランティア活動の際に小学生の女の子に言われた言葉です。大学では栄養学を学んでいるため、食事の大切さについて日々考えている中で正直わたしは大変驚きました。でもきっとこの子には事情があるのだと考え、お話を聞くことにしました。
2人になって時間も経つと、女の子は学校や家庭で困っていて、食事すらも出来ないと私に教えてくれたのです。私は女の子が苦しんでいることに気づくことが出来なかった悔しさと、正直に私へ話してくれた嬉しさで複雑な気持ちになりました。しかし私には女の子にしてあげられることが見つかりませんでした。しばらくお話しをしていくうちに、彼女には周りの人の温かさに触れることが必要だと思い、スタッフさんが握ってくれたおにぎりを一緒に食べることにしました。女の子にはこのおにぎりにどんな人が携わってくれたのかを喋り続けました。最初は浮かない顔で食べていましたが、最後の一口はみんなありがとうと言って大きな口と笑顔で幸せそうでした。その後の女の子は見違えるほど活発になり、下級生の子どもにも優しく声をかける姿を良く見るようになりました。私は食の力は素晴らしいと改めて実感することが出来ました。
私はこの経験から将来、子ども食堂を開き、子どもの心に寄り添った活動をしたいと強く考えるようになりました。どんな子どもも利用できるよう、手話通訳者を目指したり、得意なゴルフを子どもたちに教えて生きる力を身につけてもらえるように、ゴルフの資格も取得中です。そして「食」で未来の子どもたちを笑顔にするために栄養教諭も取得します。
女の子にとっておにぎりはたった1個の食べ物に過ぎなかったかもしれません。でも、そこには見えない愛や女の子を動かすエネルギーがありました。食べ物の大切さを通じ、より良い日々を過ごせるようにこれからも活動を続けていきます。
WFP賞 | » WFP賞 | ||
---|---|---|---|
部門賞 | »小学生部門賞 | »中学生・高校生部門賞 | »18歳以上部門賞 |
審査員特別賞 | »小学生部門賞 | »中学生・高校生部門賞 | »18歳以上部門賞 |
竹下 景子さん(国連WFP協会親善大使 俳優)
子ども食堂のおにぎりが、大げさに言えば、二人の運命を変えました。一人は利用者の小学生の女の子。もう一人が荻原いなほさん。ボランティアとして関わる短大生です。最初は気の進まなかった女の子が、一緒におにぎりを食べたことで活発さを取り戻していく。「食の力」を実感したいなほさんは、将来、子ども食堂を開き、子どもに寄り添う活動を目指すと言います。いなほさん、未来はあなたの手の中にあるよ。私も応援しているよ。