私は東京都の小学校で、栄養士として給食の仕事をしている。新型コロナウイルスの流行により、給食は学校生活の中の楽しい時間から、感染防止に一番神経を使わなければいけない時間へと変わった。前を向いて黙って食べるなど、新しいルールもできた。
コロナ以前、給食の時間は、おかわり争奪戦のジャンケンや、「ごちそうさまでした!」の元気なあいさつが廊下の向こうまで聞こえていた。しかし、感染防止のため、大きな声のあいさつまでもが禁止になった。そのような状況でも、子供たちは自分で考えた方法で、いつも気持ちをまっすぐに伝えてくれる。
マスクをはずした食事中は、しゃべってはいけないので、栄養士の私が教室の前を通ると、言葉の代わりに遠くから手を振って「おいしい!」を伝えてくれる。拍手やジェスチャーやお辞儀で、気持ちを伝えてくれる子供たちもいる。
忘れられない出来事もあった。毎年恒例の6年生の卒業バイキング給食が、感染防止のため禁止になった時のこと。それでも何とか給食でお祝いをしてあげたいと、バイキングで作るはずだった料理を、大きな弁当容器に一人分ずつ全部詰めて、特製の豪華弁当で卒業のお祝いを計画した。消毒やアクリルパネルの設置など、感染防止対策を万全にし、やっとの思いで6年生に無事お弁当を渡し終えた時……サプライズで、給食室へ感謝のビデオメッセージがスクリーンに映し出された。そこには、教室で前を向いて、笑顔で給食を頬張る子供たちの顔がいっぱい映っていた。私は嬉しすぎて涙が止まらなかった。コロナで我慢させることが多かったのに、子供たちの笑顔は、いつも給食の前にあった。
給食を作っている私自身も、子供たちの笑顔とこの給食に、ずっと支えられてきたのだった。学校があって、給食があって、子供たちの笑顔がいつもそこにある、そんなしあわせな景色をいつまでも作り続けたい。
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竹下 景子さん(国連WFP協会親善大使 俳優)
小学校の時間割で給食のポイントは高いに決まっている。楽しいし、美味しい。長引くコロナ禍の中で、感染防止に気を配りつつ提供するのは大変なことだと思います。でも、丹羽さんは子どもたちとの交流をいきいきと描いていて、新しいルールの下でも、みんな給食が好きなんだと思いました。卒業祝いの特製豪華お弁当の味は、大人になっても忘れないでしょう。丹羽さん、ありがとう。これからも元気で栄養士の仕事を続けてください。