「ゴリゴリゴリ、プチプチ、ザクザク。」
私が大好きな音が聞こえてきた。この音が聞こえてきたら、お昼ごはんはそう、冷や汁だ。
「おばあちゃん、私にも、お手伝いさせて。」
すると、おばあちゃんはにっこり笑って、お手せいのすりこぎ棒を私に手わたしてくれる。おばあちゃんが大きなすり鉢をおさえ、私が力をこめて、ごまをする。しばらくすりつづけると、長細くて、茶色い玉が、白いなめらかでさらさらした粉になっていく。私はこの作業が大好きだ。そして、おばあちゃんが焼き立てのアジを持ってきて、二人で一緒に
「熱い、熱い。」
と言いながら身をほぐす。これも私の楽しみだ。そして、おばあちゃんが必ず、
「小骨まで、きれいにとらなくちゃね。」
と言う。私はそんな時、おばあちゃんのやさしさを感じる。さっきのすり鉢に、みそとおばあちゃんの好きなしいたけの出し汁を入れる。出来上がりまであと少しだけど、待ちきれなくて、私はほくほくアジのほぐしをついつまみ食いする。ここまできたら、おじいちゃんがテーブルに、ごはんをよそったどんぶりを用意してくれる。私は手を切らないように、しん重にきゅうりをうすく切っていく。みょうがと大葉の薬味も切ったら、すり鉢の中に、ふわっといれる。おばあちゃんはここで、ほぐしたなめらかな豆ふを入れる。そうしたら、もう出来上がり。
「いただきます。」
感しゃをこめて、味わった。あと何回、冷や汁を食べられるかな。来年の夏も、おばあちゃんと一緒に、
「熱い、熱い。」
と言いながら、冷や汁を作って食べたい。
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ふなっしーさん
どれも素晴らしい作文が多く迷ったなっし♪
ご飯を食べることは単にお腹を満たすだけではなく、大事な誰かと一緒に食べながら思い出を作る事なっしな♪
この作品はその事が凄く上手に書かれて、情景が目に浮かんでくるようだったなっしー♪
これからも家族との食事の思い出を大切にして下さいなっしー♪