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WFPエッセイコンテストに多数のご応募をいただき、誠にありがとうございました。
全国から6,160通の作品が寄せられ、厳正な審査の結果、入賞作品が決定しました。
なお本コンテストでは、応募1作品につき給食1日分の30円が特別協賛企業のご協力により国連WFPへ寄付されます。よって、寄付額は184,800円となり、学校給食プログラムを通じておよそ6千人の子ども達に栄養と希望を届けることができます。皆様のご支援に感謝いたします。
以下にて入賞作品をご覧ください。
息子は来年から幼稚園に通う。
その幼稚園には「こころの日」というのがある。
世界にいる、満足に食べられない人を思い、お昼はおにぎり一つだけを食べ、その日の給食費を寄付に回すというものだ。
まだ3歳の息子はその話を聞くと、不思議そうに尋ねた。
「なんでせかいのひと、たべられないの?」
「世界の人全部じゃないよ。なーくんよりももっと好きなものをお腹いっぱい食べられる人もいれば、おにぎり一つも食べられない子もいる」
「なんで?」
「そういう場所に住んでる人もいるんだよ」
「なんで?」
「なーくんがママの所に来てくれたように、その子もそのママを選んで来たんだよ」
何で?何で?な時期の息子に、つたない言葉で何度も何度も繰り返した。
伝わるだろうか?
私だって最初は園の方針に首を傾げた事もあった。
育ち盛りの子に食べさせないなんて、そんな日が月に一度もあるなんてどうなのかと親としてモヤモヤしたのは嘘じゃない。
この子は不妊治療を乗り越えてようやく授かった子。
余計に辛い思いをさせたくないというのもあった。
けれど……。
まだ園に入る前の息子が私に言う。
「じゃあぼく、おにぎりなくてもいい」
「え?」
「ぜんぶあげたらもっとお腹いっぱいになれるでしょ」
「でも、なーくんがお腹空いちゃうよ」
「だいじょうぶ。ほかのごはんをのこさずたべるから!」
好き嫌いが多かった息子がこの日からなんでも食べるようになった。
そして幼稚園に入園し、おにぎりだけの日はがっかりするかと思っていたら得意な顔で帰ってくる。
「せかいのひと、おにぎりたべられたかな?」
「きっとなーくんのおにぎり食べてくれたよ」
「ママは?」
「ちゃんとおにぎり一つ食べました」
「こころの日」
一緒におにぎりだけのお昼を準備していた私の空っぽのお皿を見て、息子が太陽みたいな笑顔で笑った。
湯川れい子さん(国連WFP協会顧問)
沢山の素晴らしい応募作品の中から、どうして「こころの日」がWFP賞に選ばれたか・・・。何よりもその情景が目に見えるようで、無邪気な幼な子と、優しい母親の姿が、素直に心に染みて、思わず涙がこぼれました。
未来を創るのは、豊かな想像力です。思いやりは、幼い頃の日常からしか育まれないといわれています。この3歳の「なーくん」のような子供が沢山育ってくれることを、心から期待しています。
本田亮さん(環境マンガ家)
小学生部門には中学生・高校生部門にも劣らない完成度の高い作品がたくさんありました。そんな中で部門賞に選ばれた作品はとても温かい作品です。文中で紹介されるおばぁちゃんの言葉には回りの人を思いやる心があります。おばぁちゃんのおすそ分けとサハラで生きる人々の分け合いの精神と比べながら自分の生き方に結び付けているところがとてもいいと思いました。気持ちの変化があたたかく素直に表現されている作品だと思います。
三國清三さん(オテル・ドゥ・ミクニ オーナーシェフ)
まず小さなことに気付く。千里の道も一歩から。気付いた事からコツコツ長く続ける。そうすることによって少しずつ環境が変わっていく。僕自身も十数年前に気付き、たくさんの小学校をまわり食育をしてきた。最初はボイコットされたが今では全ての小学校が受け入れてくれている。6人ではじめた活動も今では60人のシェフ達と合同で行っている。
まず小さなことに気付く。継続は力なり。そして大きな運動につながっていく。僕は大人になってから気付きましたが、彼女は十代でそれに気付いた。ぜひ長くコツコツという運動を続けて下さい。必ず大きな成果が待っています。
御立尚資さん(株式会社ボストンコンサルティンググループ 日本代表)
新興国の大都市には必ずと言っていい程存在するスラム地域。そこでは食べ残しの残飯を求めて子供達が群がっている。
一方、豊かな国々では賞味期限・消費期限という名の食べられるゴミを作り出す仕組みができあがっている。この矛盾を少しでも解消する知恵として、期限寸前の赤札商品を買う習慣をユーモアを交えて書き溜めた部門賞受賞作。素敵な読後感を残してくれる作品でした。
冨永愛さん
(WFPオフィシャルサポーター)
故ケビン・カーター氏の「ハゲワシと少女」を題材に、命についての想いと彼なりの理解が、詰まったエッセイになっています。 印象的な言葉が多かったのですが、三つの命の叫び、という表現が印象的でした。 このコンテストの選考に参加させて頂いて、彼のような想いを持った子供が多い事に驚きを隠せません。特別賞に値する素晴らしい作品でした。今回の選考はとても難しく、このコンテストに応募した全ての子供達が、この賛美に値する。 このような子供達が増えることによって、大人達にも大きな影響を与える事、そして多くの問題があるこの世の中に変革をもたらす事を願って止みません。 そしてそんな素晴らしい感性を持った小平守莉さんにありがとうを伝えたいです。
知花くららさん
(WFPオフィシャルサポーター)
この作品を選んだのは“伝える力”が生きていると感じたからです。作者の心中の“食べる喜びと感謝”と同時に感ずる不安―。今日の日本の現実を憂う、生きた声だと感じました。
小学生部門
神奈川県 カリタス小学校 6年 東 亜実さん岡山県 倉敷市立西阿知小学校 6年 小川 穂高さん
神奈川県 カリタス小学校 5年 小田 彩加さん
神奈川県 カリタス小学校 6年 久々津 和慧さん
神奈川県 カリタス小学校 5年 手塚 千聖さん
中学生・高校生部門
沖縄県 那覇市立松島中学校 3年 平良 匠さん静岡県 静岡大学教育学部附属浜松中学校 橋本 恵一さん
東京都 東京都立国際高等学校 3年 林 優花さん
東京都 東京都立国際高等学校 3年 松本 由さん
京都府 洛星高等学校 1年 南口 桂吾さん
18歳以上部門
三重県 小井 一浩さん岐阜県 小河 智子さん
東京都 笹井 良太さん
神奈川県 西岡 路子さん
新潟県 逸見 修さん