審査員特別賞(18歳以上部門) もし放っておかれたら
岐阜県 丹羽 桜子(にわ さくらこ)さん
「ちらしずし、作り過ぎたからどうぞ!」
「たまたま余ったの。いただきものだけど、食べてね」
団地に住んでいたころ、よく、近所の人から食べ物をいただいた。
高校では、いつのまにか、私のお弁当を友だち2人のお母さんが交替で作っていた。
「お弁当なんて、1つ作るのも2つ作るのも手間は同じだから」
こともなげに言われた。
毎日、お昼に友だちからお弁当を渡された。
私は、笑いながら、でも少し不機嫌そうに
「いただきます」
と言って口に放り込んでいた。
心の底には惨めな気持ちさえあった。放っておいてほしくて泣いた日もあった。
でも、もし放っておかれたら、私はどうなっていただろう。
突然母が亡くなり、ロクな食事もとれない毎日。お金もなかった。
みな、何も言わなかったが、
「せめて1食だけでもまともな食事を」
と心配してくれたのかもしれない。
あのご飯がなかったら、私は無事に高校を卒業できただろうか。
いただいたご飯に感謝もせずにいた私。
今、1食に困る子どもたちに給食を送る「学校給食プログラム」を支援できることは、あの頃の感謝をほんの少しでも返せるような気がして嬉しい。
「たまたま余ったの。いただきものだけど、食べてね」
団地に住んでいたころ、よく、近所の人から食べ物をいただいた。
高校では、いつのまにか、私のお弁当を友だち2人のお母さんが交替で作っていた。
「お弁当なんて、1つ作るのも2つ作るのも手間は同じだから」
こともなげに言われた。
毎日、お昼に友だちからお弁当を渡された。
私は、笑いながら、でも少し不機嫌そうに
「いただきます」
と言って口に放り込んでいた。
心の底には惨めな気持ちさえあった。放っておいてほしくて泣いた日もあった。
でも、もし放っておかれたら、私はどうなっていただろう。
突然母が亡くなり、ロクな食事もとれない毎日。お金もなかった。
みな、何も言わなかったが、
「せめて1食だけでもまともな食事を」
と心配してくれたのかもしれない。
あのご飯がなかったら、私は無事に高校を卒業できただろうか。
いただいたご飯に感謝もせずにいた私。
今、1食に困る子どもたちに給食を送る「学校給食プログラム」を支援できることは、あの頃の感謝をほんの少しでも返せるような気がして嬉しい。