WFPエッセイコンテスト2014 入賞作品

審査員特別賞(中学生・高校生部門) 食事の大切さ
東京都 大田区立大森第十中学校 3年 上原 悠斗(うえはら ゆうと)さん
 僕は去年の夏、父と二人で南アフリカ共和国に行った。僕は正直、南アフリカ共和国なんて行きたくなかった。しかし父がどうしてもと言うので行くことにした。飛行機で十八時間の長旅だった。それから少ししてからのことだった。
「ここの街のことをもう少し知りたい」
と父が言ったので歩いてホテルに行くことになった。歩いている時、僕は悲惨な光景を、目にした。三人の子どもたちが、ごみをあさっていたのだ。この光景は一生忘れないだろう。僕が呆然としていると父が子ども達と慣れない現地語で話をしていた。
「君達は何をしているんだい」
すると子どもたちが
「家では何も食べるものがないからこうやってごみをあさっているんだ」
と言ったそうだ。
「これを食べな」
そう言って父は、自分の持っていたパンを子どもたちにあげた。
「ありがとう」
そう言って子どもたちは、パンをおいしそうに食べた。僕はこの時、父が僕をここにつれてきた理由が分かった。父は僕の好き嫌いをなくしたかったのだ。僕は食事の時、好き嫌いが多く、父とはそのせいでよくけんかをしていた。父がこんなことをしてくれるとは思ってもいなかったので胸が熱くなった。普段は泣かない僕だがその時は顔を隠して泣いてしまった。
「ありがとう」
僕の肩に手を置いて父は言った。
 日本に戻ってきてから僕が食事を残すことはほとんどなくなった。父とも食事の時に楽しく会話をしている。あの出来事のおかげで僕は父への思いも、食べ物への思いも変わった。僕の将来の夢は子どもたちを一人でも多く助けることだ。そのために今、出来る最大限のことをやっていきたい。