WFPエッセイコンテスト2013 入賞作品

小学生部門賞 命が命を呼んでいる
神奈川県 カリタス小学校 5年 日下部 真珠(くさかべ まこと)さん
 「呼ばれてくんにゃあ」とおばあちゃんが言った。初めて聞いたときは何を言われたのか、分からなかった。父を見ると、「呼ばれます」と言って、目の前のお皿にもられたおばあちゃんのお家でとれた桃を食べていた。ここは、父の実家のある丹後地方の久美浜町だ。父の実家に着くと必ず、おばあちゃんが、お家でとれたくだものや、おちつき団子というお団子を、「呼ばれてくんにゃあ」と出してくれる。「呼ばれる」というのは「食べる、いただく」という意味で丹後の方言だ。

 由来を考えてみた。呼ばれる、つまり何かが呼んでいると考えた。呼んでいるのは何だろうと考えた。考えて、考えて、やっと思いついた。呼んでいるのは、命だと思った。そして、もう一つ気がついた。呼ばれるのも命だと。つまり、食べるということは、命が命に呼ばれるということだと。

 それでは、飢餓で苦しむ人々は「呼んでもらえない人々」ということになる。

 飢餓についても考えた。飢餓は、食べ物に対してだけではない、と思う。読書や、勉強をすることができないのも、飢餓と言えるのではないかと思う。

 わたしの通う小学校には、塩むすびの日という日がある。塩むすびのみを昼食として食べ、おかず代を「呼んでもらえない人々」のためにぼ金するという日だ。そのぼ金で、食べ物や勉強に、世界の人が「呼ばれる」手伝いをしていると知り、とてもほこりに思った。でも、塩むすびの日だけでは世界の人全員が「呼ばれる」ことはできないと思う。その問題を解決するため、できることをいつも考えて、できることは全て実行しようと思った。