WFPチャリティー エッセイコンテスト2017 入賞作品

審査員特別賞(小学生) 残り物から「想う」
神奈川県 カリタス小学校 5年 丸本 ありす(まるもと ありす)さん
 私が家で、家族のみんなと夕食をとっていたときでした。私が食べ終わり、席を立とうとしたとき、おかずが二〜三こ残っているのが見えました。すると、「じゃあ、これも食べようかな。」と言いながら、父がそのおかずを全て取り皿に取りました。「え?またおかずを『かたづける』の?」私はからかい半分にそう言いました。その言葉を聞いた父は、「世界には、おなかいっぱい食べられない人が、たくさんいるんだよ。たった二〜三こでも、もったいない。」「ああ、そういうことか。」と私は思いました。「かたづける」のではなく、「食べられない人を想いながら、残り物でも味わう」のか、と。一気に、私は夕食の風景を見つめる視点ががらりと変わったように感じられました。おなかいっぱいになるくらい食べていると、自然と食べられない人のことをわすれて、今食べた物の味ばかり考えてしまいがちです。でも、そんな食べ物が足りない人のことを思いながら、おかずを味わう。そんな食事も、おいしい物を食べるときのように、とても楽しくて良いものだと思います。そして、今この文章を書いているときでも、事情があって満足に食事ができない人のことを思い出そう。私は、父がおいしそうにおかずを食べているのを見ながら、そう心に決めました。
 私は、父のおかげで、おかずを「ただの残り物だと思ってかたづける」のと、「残り物でも大切にして食べる」ことのちがいを、はっきりと改めて実感できました。その夕食の後から、父がみんなが残したおかずを食べているのを見ても、もう「おかずを自分の欲のままに食べている、『かたづけている』とは思わなくなりました。